「かしこい」あるいは「頭が悪い」という言葉の広範囲性と、その発言が指し示す「何について」「どの点について」が正しく認識されない(正しく認識できない多くの人がいる)ことについて。
そのことによって拡大解釈が常に起こり、対象者(被害者)へのマイナスイメージ(印象)が強く残りやすい。
例えその発言が「誤解」や「ニセ情報」や「まちがい」から出た言葉であっても、発言元が影響力の強い人物(芸能人、有名人、教師、医者、学者、親etc)であったら、その影響はずっと残り続ける。
例えその発言者が被害者に対して「私の発言は間違いでした。自分の非を認めて謝罪します。大変なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」と公の場で謝罪したとしても、被害者への悪影響はずっと残り続ける。(ほとんどの多くの人は個人的にでさえ謝罪をしないが。)
その根本には「人々は誰かを極端に上か下にさせたがる」性質がある。
上というのは「ちょーすげー人」にしたがる「神格化」したがる、ということ。
自分が「この人すごい」と思ったら単にファンになるだけに留まらず、他人に対して「この人すげーんだぜー」と言いふらしたがる。
その段階になると、その対象者にちょっとしたミスやおかしな発言があっても「自分がすげー人だと思った人なんだから、これだけすごい人だと自分が周囲の人に言いふらした人なんだから、もっと深くてすごく賢い意味があるんだ」と思いたがる。
そうしてますます神格化しようとする。
下というのは神格化のまったく逆方向そのまま。しかも「先生がその生徒を好きではないような態度や発言をしていたように見えたから」といった程度のことからスタートする。
最初はたった1つの些細なことについて「かしこい」「頭が悪い」と言われただけなのに、他の多くの人は(あるいは言われた当人や言った本人までもが)その人物そのもの全てが「かしこい」「頭が悪い」というイメージ(印象)へと加速するように突き進んでいきがち。
そして加速しすぎたイメージ(印象)はある日突然、逆方向へ突き落とされたりする。
「え、こいつこんな奴だったっけ!?」と。
上に加速された者は落とされるし、下に加速された者は急速に持ち上げられたりする。
他人にさんざん迷惑掛けて悪いことをしてた奴がちょっと普通の良いことをしただけで英雄のような扱いをされたり、まるでスーパースターのような扱いを受けていた人物が急に重犯罪者のような目で見られるようになったり。
多くの人は「何についてかしこいと言っているのか」という正確なポイントを理解しようとせず「その人物がかしこいんだ」ととらえがちだということ。
多くの人は「ファンになると神格化せずにはいられない」という性質があること。
その2つが上へも下へも特定の人物のイメージ(印象)を加速させて、その人の人生を大きく揺さぶる。